散財プロデューサー(败家总监)のクロスボーダー生活

個人消費とライフスタイルが国境を越える時代に 思うことを述べていきます

退職の日

3月末 昨日でインテージグループを退職しました

 

9年11か月

 

前の会長から ワインをのみながら誘われて

 

ITベンチャーから転職して

 

約10年のあいだ

 

いろんな経験をさせてもらいました

 

今回は 資金と仲間をひとりつけてもらって

 

新しい挑戦を応援してくれます

 

だから退職というより

 

卒業という感じで送り出してもらいました

 

来週からは正真正銘 一国一城の主です

 

2人の新入社員も出社します

 

皆とともに いい仕事ができるよう

 

心してかからねばなりません

 

 

クロスボーダー人財 ねらいどおりに育成中

「人材」には3種類あるんだそうです

 

一つ目は

ただそこにいるだけの益にも害にもならない人 

それを 「人在」

まあ、給料相応働いている人まで含めるのかな

 

二つ目は

和を乱すはトラブルは起こすは、挙句の果てには突然やめちゃう人

それを 「人罪」

厳しい言葉ですね でもそういう人 たしかにいます

 

三つ目は

一緒に働くと皆がとても楽しくなる 本人の生産性も高く運もいい人

それを 「人財」

つまり 「かせぐ」「向上する雰囲気をつくる」得難い人材です

 

「人在」と「人罪」

学歴や能力、あまり関係ないかもしれないね

でもこんな人たち採用したら ベンチャーはすぐ死んじゃいそう

 

だから丁寧に 「人財」を原石からみつけて磨かないと

 

そう思って「クロスボーダー人財」のプログラムを考案しました。

その第一期生 9月から入社するメンバーには

この10日間 生まれてはじめての日本に来てもらいました

だってこれまで半年間 磨いているうちにお金を稼いでくれたから

 

僕は搾取はしないぞ! ちゃんと還元してあげようといいながら

事実上は研修旅行になってしまったかもしれませんが

予定のプログラムをすべて順調にこなして

今朝 羽田に見送ってきたところです

 

もうやる気満々 気合十分 目がキラキラ

日本語もとても上手(当然です!笈川塾でしごいてもらったから)

各々2つ持っている研究テーマを しっかり深堀して

毎日がゼミ合宿のような日々でした

 

うむ、この方針は間違いはない

いろいろな理由でこの退職前の繁忙期ではあったけど

そう自信をつけた この10日間でした

 

オフィスをつくる

昨日から、年度末と退職の作業をしながら

神田橋のオフィスをつくっている

 

デスクも椅子も

最近はアスクルで頼むとその日のうちにもってきてくれるけど

組立をお願いすると数日かかり1個あたりいくらのコストもかかる

たいしたことはない金額なのだけど

自分自身への試練として

ひとりでくみたてる

4月3日から4人のオフィスになるから

デスクも椅子も4つ。移動式キャビネット2つ

ぜんぶ組立前で持ち込まれた

 

すごい段ボール

 

ちょっと多い

 

というわけで

昨日から黙々と(まあひとりだから当然だけど)

くみたてる

 

こういう作業は嫌いではない

ベンチャーにもいたし

そういえば事業開発で京都に分室をつくったときも

ちょうどこんな感じで

デスクから組み立てた

 

そのとき あのとき

何度もいろいろな事業をたちあげたときの

反省をしながら くみたてる

 

「時代が早かった」は言い訳にならない

時代をもってこれなかった 自分がわるい

 

うまくいったケースは 実は正直なところ理由はわからない

もちろん ねらっていたし

ベストを尽くしたのはもちろんとして

神様が気まぐれな手をさしのべてくれたとしか言いようがない

 

でも失敗したケースの理由は

自分としてはもうはっきりしている

 

2つある

 

ひとつは、「持続可能にすること」にこだわらなかったこと

かっこいいモデルにこだわって

死に物狂いで生き残ろうとしなかったこと

 

今回の事業は「人財育成」である以上

10年も20年もいやそれ以上 持続させないわけにはいかない

必ず生き延びて続けてやる

 

 

もうひとつは 利益をとることをためらったこと

 

大学時代に社会学部で

少数民族の言語問題をあつかっていたくらいだから

頭の中はマルクス経済学の世界がまだ糸を引いている

社会の富は一定で 誰かが富むと誰かを搾取するという

質量一定保存説が頭の中に棲む

 

だから 利益をとることにためらいがある

 

しかしここは「利益は挑戦の原資である」と

発想を変えることにした

 

僕個人は どちらかというと

すわって半畳 ねて一畳

あまり何かに拘泥する人間ではないのだけど

とにかく 挑戦をあきらめたくない

命尽きるまで いやそのあとも化けて出ても

成功するまで挑戦してやる

 

そう思って 持続可能で挑戦にむけた

僕の事業が生き残るためにも 利益はとる

 

もちろんそれだけの成果を提供できる

新会社にしなければと思う

 

あとすこし 今日のうちにはおわらせよう

 

 

 

 

プレスリリースが出ました!

私が代表をつとめる

 

株式会社クロスボーダーエイジ

 

について、プレスリリースがでました。

 

4月から独立して、新しい事業に取り組みます。

 

皆さんどうぞよろしくお願いします。

 

www.intageholdings.co.jp

 

 

 

 

ネタとして「消費」されてしまうだけの中国の「消費者の日」の悲しさ ~後編~

「暮らしの手帖」のように

商品やサービスに対して

消費者の視点からチェックをしようとする風潮は

中国では公的な取組みを別にすると

2つの流れがあるようです

 

まずひとつめは「クレーマー

中国では「モンスタークレーマー」が

ブームになりました

 

商品やサービスにイチャモンを付けて

企業から賠償金を巻き上げる

 

王海現象」というそうです

 

でもこれは個人消費が成長したらどこの国でも起きること

アメリカも日本も そういう時代がありました

それが中国でも起こったのが「モンスタークレーマー」です

今は比較的 沈静化しているそうです

 

北京にずっと住んでいる 

日本の大きなシンクタンクの所長さんがおしえてくれたのですが

「大学進学率が30%を超えると

 常識が通用するし 皆が守ろうとする

 その国は ”ふつう” になるんですよ」

その話を聞いた2013年 中国の大学進学率は30%を超えました

 

僕が大学を卒業したとき

中国の大学進学率はわずか3%

そして今は43.4%(2015年)

日本は安定していて63%くらいだから

間違いなくまもなく抜かれます

 

そういう消費者の民度が向上する過程でおきることを

僕はそう問題には思っていません

 

気になるし、僕がとても残念なのは

3月15日の「消費者の日」に一斉にあちこちではじまる

「企業たたき」のキャンペーンが

当初はとてもよい指摘をいくつもしていたのですが

いつのまにかエスカレートして

本来の目的を超えて過熱していることです

 

一年間の売上の半分が1日で計上されるという

「独身の日」のECのバカ騒ぎ同様に

 

メディアが「モンスタークレーマー」になって

普段テキトーに見逃していることを

あたかも大事のように騒いで

悲しいことにそれに多くのインテリといわれる人たちが同調する

 

このため、今回も

中国の消費者がどうしてもほしいというので

実はほとんど儲からないのに越境ECに出店していた

いくつかの日本メーカー、商品が販売を自粛することになっています

 

あ~~~~居心地わるい!

 

ちゃんと商品テストをすればいいのに

そうすれば日本のメーカーも

消費者も感謝するだろうに

 

根本的な問題解決につながらない

一瞬の視聴率を稼いだだけで

実はだれもよいことがない

テレビ局だってむやみにスポンサーをこわがらせて

なんら創造的な取組につながらない

 

結局、せっかくの「消費者の日」を

ネタとして消費しているだけなんだろうなあ

 

中国のひとたちは 

そういうスパイラル的に上昇すると同時に

定向進化がとまらなくなる

だから、いったん環境が悪化すると

スパイラル的に下落する 

だれも

「まてよ?本当にそうなのかな?

 何が本質なのかな?」

そう考えて踏みとどまって頑張るひとがいない(すくない)

そういう傾向があるようです

 

今回は 日本のメーカーは「欠席裁判」を強いられてしまっていて

静観するしかないとはいえ

ああ、居心地がわるいし

残念だなあと思っています

 

 

 

 

 

 

 

ネタとして「消費」されてしまうだけの中国の「消費者の日」の悲しさ ~前篇~

  僕はけっこう物知りなのですが

仕事がら、特に「商品学」というべき分野が得意です

 

要は商品のウンチクを

ちょっと歴史や文化に普遍性をもたせて

さもそこに理論があるかのように語る

まあ、確かにそこには面白い世界があります

 

この「商品学」はとても珍しい分野で

日本の大学でも母校の一橋と

あと数えるほどしかないようです

その大学で教えている「商品学」は

今井賢一先生によれば

本来の面白さをずいぶんスポイルしてしまっているそうです

 

「きみが話すほうがよっぽど面白い

 まさに商品の歴史はイノベーションの歴史なんだよ」

 

と先日お会いしたら褒めていただきました

 

そして中国・台湾で若者に講演をするときに

マーケティングリサーチの話に混ぜて

そういう「商品学」の話をすると

とても学生・聴衆の反応が良いのです

 

さて、そういう商品学で

特に品質管理と消費者保護を論じる際に欠かせないのは

この雑誌と花森安治大橋鎮子の2人のはなし

 

NHKの朝のドラマにもなりましたね

 

あまり本を読んでいることのなかった

僕の母ですら購読していました

僕自身もこどものころから愛読した雑誌でもありました

 

僕は中国の学生にいつもこう語っています

 

「最近になって中国やアジアの人たちに

 日本の商品 とくに化粧品や医薬品や日用品

 そういう ”いのち”と”くらし” の商品が

 人気があるでしょう?

 

 商品の品質の高さ

 シンプルで丈夫で使いやすいデザイン

 消費者に対しての対応の丁寧さ

 でもそれを僕は日本人の”国民性”とか

 日本の”文化”が理由だとは

 まったく思わないのです

 

 あなたたちは日本語を勉強して上手にあつかえるけど

 そんなどこにでもある つまらない異文化論を語るよりも

 もっと具体的な理由や細かい背景をしって

 そして創造的な仮説をたてるために

 あなたたちが一生懸命勉強した日本語を使ってほしい

 

 だって国民性や文化が理由になってしまったら

 民族や文化が違う人たちは

 ずっとよいものがつくれないし

 手に入らなくなるじゃないですか?

 

 ちがうんです

 日本もあるときから”変わった”のです

 

 メーカーから広告をとらないで

 購読料だけで 真の意味で読者に支えられている雑誌が

 徹底した商品テストを繰り返して

 容赦なくメーカーを叱咤してきたこの雑誌が

 

 日本の商品の品質をたかめてくれたのです

 メーカーを鍛えてくれたのです

 日本の多くの企業に

 つねに消費者をみて考えるようにおしえてくれたのです

 しかも過去形ではない

 いまもなお  その雑誌は存在しているのです

 

 何の理由もなく

 勝手に商品の品質がよくなったりはしない

 

 もしあえて”なぜ日本から?”という要素をみつけるならば

 

 この雑誌が

 大勢の人たちを苦しめ苦しんだ 先の戦争のあと

”あたりまえの暮らしを大切にする世の中にしたい”

 という反省と願いから創刊されたこと

 

 僕は官僚でも政治家でも外交官でも軍人でもないから

 日本政府や国際政治のことはよくわからなくて

 自信をもっていえることはない

 

 でも すくなくとも皆さんが愛してくれる日本の商品は

 そういう”反省と願い”からうまれ

 常に消費者の視点で

 ”いのち”と”くらし”を豊かにしようとしてきた雑誌に

 鍛えられている結果として 

 いまここにあるのだと それは自信をもっていえます」

 

学生の皆さんの反応はとてもいいです

「中国でもこんな雑誌があればいいのに」

とか

「さらに日本が、日本語がすきになりました」

とか感想を言ってくれます

 

ただ、残念ながら、中国ではかなり違ったことがおきています

それは後編で

 

www.kurashi-no-techo.co.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中国のデザートはおいしいのにお菓子がおいしくないのはなぜ?

中華料理のデザートが好きです。

 

「甜点」と呼びますが、杏仁豆腐もマンゴープリンも、ゴマだんごも、

どれもこれも、とてもとてもおいしい。

 

熱いものはできたてで、ほくほくです。

冷たいものは、さわやかで、クリーミーで、のど越しも最高です。

全部たべたくなる誘惑を、50歳のオッサンはぐっとこらえています。

 

しかし、スーパーや土産物屋で売っている

お菓子・駄菓子(「零食」といいます)は

どれもこれもまずい!

 

チョコレートまで、まずい!

 

外資系のメーカーが現地生産しているブランドも まずい!

あれはたぶん、水のせいだと思う。

中国は硬水の地域が多いから

浄化と軟水化処理が必要なのだけど

それをちゃんとやらないと

ほかの成分が同一でもまずくなるのはあたりまえ。

 

だから日本のメーカーの現地生産品まで

もしそういうことで裏切られると悲しいから

ヤクルト以外は手を付けたことがありません。

(ヤクルトはさすがです!)

 

中国では春節のときにスーパーに所せましとお菓子が並びますが

あれを数年前、お土産にたくさん買って帰って、

念のため自分で食べてみたら、うげええええ!となってしまった。

 

全部捨てました。

 

中国人にその話をしたら

春節のお菓子はやめといたほうがいい。

  あれは食べてもいいけど飾りだから」

とのこと。

 

えええっ?「飾り」を買っているの?

子どもが間違って食べたらどうするの?

 

中華料理のデザートと、お菓子・駄菓子のこの差は何?

 

最近の僕の結論は、

 

「中国人は相手を見ながら提供するときは、最高のものを出してくれる。

 しかし、不特定多数を相手にするときは、いい加減でもかまわないと思う。」

 

そんなふうに思うようになりました。

おそらくかなり偏見に近いと思いますが、

度重なる体験(「駄菓子好き」しては何度も信じては騙されてきた!)から

そのように心に銘記したうえで、

それでも手を出して・・・となっています。

 

ちなみに、

そういう中国菓子をおいしいおいしいと食べる日本人もたまにいます。

子どものころから食べなれている中国人を別として

そういう日本人はだいたい、かなりの味覚音痴だと思います。

 

日本の駄菓子はおいしいよ!チョコレートなんか最高です。

訪日のときにはダイエットを休んで、ぜひいろいろ食べてみてください。

 

追伸:そうそう、台湾は別です。

   台湾のパイナップルケーキ、しかも有名店になると

   なかなかおいしい。

   大陸でも厦門・福州などはまあまあ。

   西安のように民族色のあるお菓子もおいしかったです。