散財プロデューサー(败家总监)のクロスボーダー生活

個人消費とライフスタイルが国境を越える時代に 思うことを述べていきます

ギークとデザイナー(中編)

その頃、僕は「国際線の機内販売」の市場開発に取り組んでいました。

 

仕事で、プライベートで何度も乗った

中国・ベトナムとの往復の飛行機の中で、

機内販売の雑誌

エンタメシステム(映画だけでなくショッピング機能もあります)

CA(客室乗務員)さんが機内販売をしている様子

そして乗客の会話などをじ〜っと見たり聞いたりして

この販売チャネル・市場はまだまだ未開拓で、

これから5〜7倍くらいには、すぐになりそうだと思っていました。

 

キビキビとしていつも笑顔で素敵なCAさんや航空会社の方には申し訳ないけど

機内販売は辛そうで、楽しくない仕事になっているだろうな、と思います。

だから、新幹線の車内販売と比べて、

それを参考にするだけでも、すぐできることはあるのですが、

もっともっと限られた機内の空間と時間、

新幹線では薄まってしまっている

「旅行の思い出」「欲しいものを買い損ねた後悔」の思念が

(特に日本発の飛行機の機内に)どーんと濃く渦巻いているところ、

そこには大きなポテンシャルを感じていました。

アンケート調査では、日本発中国便の中国人乗客の1割以上が、

「買い物の時間が足らない」「買い忘れたものがある」という

未練を持っていることもわかっていました。

日本へ来るときの楽しい、期待いっぱいの気持ちとは一転して

「後悔と未練を抱えた時間」を過ごしていました。

そんな飛行機の機内の専用商品・パッケージをつくって、

ヒットさせたいなと思いました。

 

そういう背景で、昨年(2016年)の7月初旬に、

友人の紹介で、大学を卒業したばかりの若いデザイナーの青年と会い、

ある製品のデザインをお願いしました。

 

なかなか面白いミーティングでした。

だから、

「ひと通りのイメージは伝えたけれど、あとはお任せします。

 これまで世の中になかったようなものを作ってみてください。」

と、今から考えると素人丸出しの依頼をしてしまいました。

 

ほどなく出てきたデザインを見て、僕はびっくりして気づきました。

 

「あ、ここにイノベーションの因子がある!」

 

「そうか、これからは ”デザインの時代”、

 イノベーションをデザイン&デザイナーが牽引する時代なんだ!」

 

そう気付いたのです。

 

そして、

 

「彼と一緒に仕事をしてみたい。」

 

と強く思うようになりました。

 

次へ続きます。