ネタとして「消費」されてしまうだけの中国の「消費者の日」の悲しさ ~後編~
「暮らしの手帖」のように
商品やサービスに対して
消費者の視点からチェックをしようとする風潮は
中国では公的な取組みを別にすると
2つの流れがあるようです
まずひとつめは「クレーマー」
中国では「モンスタークレーマー」が
ブームになりました
商品やサービスにイチャモンを付けて
企業から賠償金を巻き上げる
「王海現象」というそうです
でもこれは個人消費が成長したらどこの国でも起きること
アメリカも日本も そういう時代がありました
それが中国でも起こったのが「モンスタークレーマー」です
今は比較的 沈静化しているそうです
北京にずっと住んでいる
日本の大きなシンクタンクの所長さんがおしえてくれたのですが
「大学進学率が30%を超えると
常識が通用するし 皆が守ろうとする
その国は ”ふつう” になるんですよ」
その話を聞いた2013年 中国の大学進学率は30%を超えました
僕が大学を卒業したとき
中国の大学進学率はわずか3%
そして今は43.4%(2015年)
日本は安定していて63%くらいだから
間違いなくまもなく抜かれます
そういう消費者の民度が向上する過程でおきることを
僕はそう問題には思っていません
気になるし、僕がとても残念なのは
3月15日の「消費者の日」に一斉にあちこちではじまる
「企業たたき」のキャンペーンが
当初はとてもよい指摘をいくつもしていたのですが
いつのまにかエスカレートして
本来の目的を超えて過熱していることです
一年間の売上の半分が1日で計上されるという
「独身の日」のECのバカ騒ぎ同様に
メディアが「モンスタークレーマー」になって
普段テキトーに見逃していることを
あたかも大事のように騒いで
悲しいことにそれに多くのインテリといわれる人たちが同調する
このため、今回も
中国の消費者がどうしてもほしいというので
実はほとんど儲からないのに越境ECに出店していた
いくつかの日本メーカー、商品が販売を自粛することになっています。
あ~~~~居心地わるい!
ちゃんと商品テストをすればいいのに
そうすれば日本のメーカーも
消費者も感謝するだろうに
根本的な問題解決につながらない
一瞬の視聴率を稼いだだけで
実はだれもよいことがない
テレビ局だってむやみにスポンサーをこわがらせて
なんら創造的な取組につながらない
結局、せっかくの「消費者の日」を
ネタとして消費しているだけなんだろうなあ
中国のひとたちは
そういうスパイラル的に上昇すると同時に
定向進化がとまらなくなる
だから、いったん環境が悪化すると
スパイラル的に下落する
だれも
「まてよ?本当にそうなのかな?
何が本質なのかな?」
そう考えて踏みとどまって頑張るひとがいない(すくない)
そういう傾向があるようです
今回は 日本のメーカーは「欠席裁判」を強いられてしまっていて
静観するしかないとはいえ
ああ、居心地がわるいし
残念だなあと思っています