散財プロデューサー(败家总监)のクロスボーダー生活

個人消費とライフスタイルが国境を越える時代に 思うことを述べていきます

ギークとデザイナー(後編)

その若いデザイナーと会って起業に至るまで、

しかも彼が社長になって京都で「デザインベンチャー」を立ち上げ、

僕が東京に「環境ベンチャー」を立ち上げた経緯は、

またおいおい書くことにします。

 

さて、しばらく前のベストセラーで

 

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

 

https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/514L3hWq-eL._SL75_.jpg

 

という本があります。

本を切り裂いてスキャナで読み込む「自炊」が流行った頃です。

 

要は3Dプリンターやデジタルレーザーカッターなどの

「デジタルファブリケーション」が、

消費者自身を「製造者(メーカー)」にする、という内容の本なのですが、

僕はまだ「メーカー」になった消費者を日本で見たことがありませんでした。

 

でも、デザイナーと交流するようになって

デジタルファブリケーションとCG(コンピュータグラフィクス)のおかげで

「試作の自由」を謳歌しはじめた人種に出会いました。

 

もともと、デザイナーは何でも「自分で作って見たい」と思う人たちです。

何しろ男4人のルームシェアの空間に、ミシンがあるのです。

 

高価な金型を作らないとできなかった、

あるいは精密な職人技が必要だった

特定の機器がないと作れなかった部品、

そういう資源を持った企業と最初から組まないと

試作品すらまともに作る自由がなかったデザイナーが

思いついたものを次々と形にすることができるようになった。

 

かつて「メインフレーム」で「ウオーターフォール」で集団で

つまらなそうにグチャグチャとソフトウェア「製造」をしていたプログラマーが、

PCとインターネットで「解放」されたように。

 

同時に、それは「デザイナーの活動範囲」が急速に拡大することも意味します。

これまでの「巨匠」のような職人ではなくて

図面を書いておしまいの仕事ではなくて

上流から下流まで、さらには経営やマーケティングまで

あらゆることが勝手に繋がってきてしまう。

自分の好奇心もどんどん広がってきてしまう。

 

ガンダム世代の私としては、

ニュータイプ」のデザイナーがこれからは現れてきそうだと感じています。

 

ところで、「ギーク」と「デザイナー」は、色々と共通点があります。

先に手が動くところも(女性に対しては知りません)

確固たる信念とこだわりがあって頑固なところも

ユーザーの一言一言に敏感すぎるほど反応してしまうところも

なるべく無駄を省き、余計なもの、醜いものをつくりたくないとゴネるところも

すごくすごくよく似ています。

そして、どちらも僕から見れば「魔法使い」です。

 

何もない(ようにみえる)ところから

ユーザーの気持ちを揺り動かして

無限の価値を生み出してしまう

まあ、少なくともそういう期待をさせてくれる。

 

面白いことに「ギーク」と「デザイナー」は、

こんなに似ている人種なのに

お互いに交流がほとんどありません。

反発するわけではなく、お互いに関心を持つことがない、

これまで交わらない人種だったようです。

 

でも、AIの分野では、すでに「アート」の領域に入ってきた

ギーク」が現れているようですし

デジタルファブリケーションを職人技で使いこなすために

プログラミングを駆使する「デザイナー」も出て来るでしょうから、

そう遠くないうちに融合が始まりそうな気がします。

 

ブログを書きはじめて、いきなり長文になりました。

次回からはもっと軽い話題をサクサク書きたいと思います。

ではまた。